複数の倉庫や店舗の在庫をGoogleシートからまとめて同期したい——そう思って始めたものの、いざ設定しようとすると「どこから手を付ければいいのか」で止まってしまうことがあります。マルチロケーションは便利な反面、最初の準備を飛ばすと、誤ったロケーションに在庫が書き込まれたり、数量が反映されなかったりというトラブルにつながりやすい領域です。
そこで今回は、最初の本番同期をかける前に整えておきたいセットアップを、順番に沿ったチェックリストとしてご紹介します。ロケーションの命名から、在庫の割り当て、シートの列設計、接続テスト、出荷優先順位の決定まで——一つずつ確認していけば、迷わず立ち上げまでたどり着けます。
ロケーションを命名して有効化する
まずは前提の確認です。Shopifyのロケーションとは、在庫を保管・出荷・販売する場所のことです。倉庫でも実店舗でもドロップシップ拠点でも、在庫を持つ場所はすべてロケーションとして登録します。マルチロケーション同期の土台はここにあるので、最初に名前と状態を整えておくことがとても大切です。
命名は後から思わぬところで効いてきます。シートの列見出しとロケーション名を突き合わせる場面が必ず来るので、人にもツールにも読み取りやすい名前にしておきましょう。「倉庫」「店舗2」のような曖昧な名前ではなく、「東京倉庫」「大阪店舗」のように一意で区別しやすい名前が理想です。命名のあとは、同期に使うロケーションが有効になっているかも確認します。無効化されたロケーションには在庫を割り当てられません。
各ロケーションで商品を在庫対象にする
ここが見落としやすい重要なステップです。Shopifyでは、商品をあるロケーションで在庫対象にしてからでないと、そのロケーションに数量を割り当てられません。シート側に数字を用意しても、Shopify側でそのロケーションが商品に紐づいていなければ、同期しても反映先がない、という状態になってしまいます。
在庫は各ロケーションごとに状態(販売可能、引当済み、オンハンドなど)として記録され、同じSKUでも倉庫Aと店舗Bでは数が別々に動きます。本番同期の前に、同期したい商品が対象の各ロケーションで在庫対象になっているかを必ず確認してください。新しいロケーションを追加した直後は、既存商品がまだそのロケーションに紐づいていないことが多いので、特に注意が必要です。
在庫対象の抜け漏れをチェックする
商品数が多いと、どの商品がどのロケーションで在庫対象になっているかを一つずつ確認するのは大変です。Shopifyの在庫画面でロケーションを切り替えながら、対象外になっている商品がないかを見ていきましょう。少量で始める場合は、まずテスト用のSKUをいくつか選び、全ロケーションで在庫対象にして同期を試すと、抜け漏れの確認がぐっと楽になります。
ロケーションごとの列をシートに設計する
在庫マスターとなるGoogleシートの設計に移ります。マルチロケーションでは、1つのSKUに対してロケーションの数だけオンハンド数量の列を用意するのが基本です。1行=1SKU、列にロケーション別の数量という横持ちの形にしておくと、人が見ても分かりやすく、ツールへのマッピングも素直になります。
- 011列目にSKU(またはバリアントを一意に特定できるキー)を置く
- 02ロケーションごとにオンハンド数量の列を1つずつ用意する
- 03列見出しにはShopify側のロケーション名をそのまま使い、表記を揃える
- 04数量列には数値だけを入れ、単位や記号、空白を混ぜない
- 05見出し行は1行に固定し、データ行と混ざらないようにする
Sync Masterは複数ロケーションに対応し、シートの各ロケーション列のオンハンド数量を、対応するShopifyロケーションへ書き込めます。列とロケーションの対応はマッピングで決めるので、見出しが分かりやすく一意であるほど、設定が速く正確になります。ここでGoogleシートを在庫の単一の真実として位置づけ、入力はシート側に一本化しておくと、運用が安定します。
接続テストとマッピングの確認をする
列の設計ができたら、いきなり全件を同期するのではなく、まず接続テストで対応関係を確かめます。Sync Masterには本番同期の前に列とロケーションの対応を検証する接続テストがあるので、「このシートのこの列が、Shopifyのこのロケーションに書き込まれる」という対応を、実際に在庫を書き換える前にチェックできます。
- SKU列がShopifyの商品・バリアントと正しく突き合っているか
- 各数量列が意図したロケーションに対応づいているか
- 対象の商品が、書き込み先のロケーションで在庫対象になっているか
- 見出しの表記ゆれ(空白・全角半角)でマッピングが外れていないか
テストはまず少数のSKUで試すのがおすすめです。期待どおりの数量が、期待どおりのロケーションに入ることを確認できれば、安心して対象を広げられます。最初の一回をていねいに検証しておくことが、後の大量の取り違えを防ぐ一番の近道です。
出荷優先順位を決めて自動化を整える
最後に、注文が入ったときにどのロケーションから出荷するかの優先順位を決めます。Shopifyは複数ロケーションをまたいで注文の引当・出荷をルーティングしますが、どこを優先するかは運用方針に合わせて設定しておくと、配送距離やコストの面で有利になります。在庫を持つロケーションの順序を整理し、主力拠点や顧客に近い拠点を上位に置くなど、自店に合った並びを考えておきましょう。
ここまでの手順——ロケーションの命名と有効化、各ロケーションでの在庫対象化、列の設計、接続テスト、出荷優先順位——を順番に押さえておけば、最初の本番同期はぐっと安全になります。準備に少し時間をかけるほど、後の取り違えや欠品を減らせます。まずはテスト用の数SKUで一巡し、問題がないことを確かめてから全体へ広げていきましょう。