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地域・マーケット別にロケーションを割り当てる出荷設計

マルチロケーション運用

この記事の概要

国内・越境の各マーケットに最寄りのロケーションを対応づけ、お客様に一番近い倉庫から出荷するための設計を整理します。地域ごとの在庫配分をシートで管理し、偏りによる欠品を早めに見つけるコツもお伝えします。

同じ商品でも、東京のお客様には関東の倉庫から、ヨーロッパのお客様には現地の倉庫から送れたら、送料もリードタイムもぐっと下がります。複数の倉庫を持つストアにとって、地域・マーケット別の出荷設計は売上だけでなく顧客満足にも直結する大事なテーマです。

今回はその中でも、Shopify Marketsのようなマーケットの考え方とロケーションを結びつけ、お客様の地域に応じて最寄り在庫から出荷する設計に絞ってお話しします。注文の自動振り分けそのものよりも、どの在庫をどの地域に持たせるか、という土台づくりが中心です。

地域別倉庫から最寄り出荷する考え方

Shopifyにおけるロケーションとは、在庫を保管し、出荷し、販売する「場所」のことです。複数のロケーションを登録しておくと、注文が入ったときにShopifyがどの拠点から出荷するかを判断してくれます。ここで大切なのは、お客様の届け先に近い拠点に在庫があれば、その拠点から送れる可能性が高まる、という点です。

最寄り出荷がうまく回ると、配送距離が短くなり、送料も配達日数も抑えられます。逆に、特定の倉庫にだけ在庫が偏っていると、遠い倉庫からの発送が増えてコストがかさみます。つまり地域別の出荷設計は、ロケーションの数を増やすことではなく、各地域に適切な在庫を「持たせる」ことから始まります。

マーケットとロケーションを対応づける

Shopify Marketsは、国や地域ごとに価格や通貨、表示を出し分けるための仕組みです。マーケット自体が「この注文はこの倉庫から出す」と自動で決めてくれるわけではありませんが、どの地域からの注文が多いかを把握する手がかりになります。そこで、マーケットの単位と倉庫の所在地をあらかじめ頭の中で対応づけておくと、在庫配分の方針が立てやすくなります。

  • 国内マーケット → 国内の主力倉庫を出荷の中心に据える
  • EUマーケット → 域内の倉庫に在庫を厚めに配分する
  • 北米マーケット → 現地拠点があればそこを優先、なければ越境発送を前提に設計する

越境・国内で在庫を分ける場合

国内向けと越境向けで在庫を分けたいケースもよくあります。たとえば国内倉庫は国内注文を優先で出荷し、越境向けには別の在庫枠を用意しておく、といった形です。このとき、同じ商品でも「国内ロケーションの数量」と「海外ロケーションの数量」を別々に持てるのがShopifyのロケーション機能の強みです。地域ごとに available(販売可能数)が別管理になるので、現実の在庫に近い数字を見せられます。越境分を国内の数字に混ぜてしまうと、国内のお客様に見せる在庫が実態より多くなり、欠品やキャンセルの原因になりがちです。ロケーションを分けておけば、どの地域にどれだけ残っているかを切り分けて把握できるので、地域ごとの販売判断もぶれにくくなります。

地域ごとの在庫配分をシートで管理する

どの地域にどれだけ在庫を置くかは、頭の中だけで管理するとすぐに崩れます。おすすめは、Googleシートを在庫のマスター(信頼できる唯一の場所)として、ロケーションごとに列を分けて配分を書き出す方法です。商品の行に対して、関東倉庫の列、関西倉庫の列、EU倉庫の列、という具合に並べておけば、地域配分が一目で見渡せます。

  1. 01まず全SKUを行に並べ、各ロケーションを列として用意する
  2. 02過去の地域別売上から、各倉庫に置きたい目安数量を入れる
  3. 03繁忙期やセール前は、需要が伸びる地域の列を厚めに調整する

Sync Masterのようなアプリは、こうしたGoogleシートを在庫のマスターとして扱い、ロケーションごとの数量をShopifyへ自動で書き込めます。複数ロケーション(マルチ倉庫)に対応しているので、地域別の配分を一枚のシートで決めて、そのまま各拠点に反映できます。本番同期の前に列の対応を確かめられる接続テストもあるため、EU倉庫の列を国内倉庫に書き込んでしまうような取り違えも防げます。

地域偏在による欠品を早期に検知する

地域別に在庫を分けると、便利な反面、ある地域だけ在庫が尽きる「偏在」が起きやすくなります。全体の在庫はまだあるのに、人気の地域の倉庫だけ空っぽ、という状態です。これを放っておくと、近くの倉庫に在庫がないために遠い倉庫から高い送料で送るか、最悪は機会損失につながります。特にセールや新商品の投入で特定の地域だけ需要が急に伸びると、想定より早く片方の倉庫が底をつくことがあります。全体の在庫数だけを見ていると安心してしまいがちなので、地域単位での残り具合をこまめに確認することが、偏在に気づく第一歩になります。

偏在に早く気づけば、倉庫間で在庫を振り替えたり、シート上で配分を見直したりと、打てる手は意外と多いものです。大切なのは、地域ごとの残数を定期的に見る習慣をつくることです。

配送コストとリードタイムのバランス

最後に忘れたくないのが、配送コストとリードタイムのバランスです。最寄り出荷は理想ですが、近い倉庫の在庫を切らさないために在庫をたくさん抱えると、今度は在庫コストが膨らみます。逆に在庫を絞りすぎると、遠い倉庫からの発送が増えて送料と日数が伸びます。どちらに寄せるかは、地域ごとの売れ方と、お客様がどこまでの納期を許容するかで決まります。たとえば回転の速い定番品は各地域に厚めに置き、動きの遅い商品は一か所にまとめて越境発送でカバーする、といった具合に、商品の性質ごとに方針を変えるのも有効です。すべての地域で同じ在庫水準を目指す必要はなく、メリハリをつけることでコストとサービスの両立がしやすくなります。

地域・マーケット別の出荷設計は、一度決めたら終わりではなく、売上の動きに合わせて配分を見直し続けるものです。Googleシートをマスターにして各ロケーションへ反映する仕組みを整えておけば、地域ごとの調整も数字を書き換えるだけで済みます。まずは主要な二つの地域から、最寄り出荷の設計を試してみてください。

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