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倉庫ごとの実地棚卸しをシートに突き合わせて整える

マルチロケーション運用

この記事の概要

複数倉庫の在庫は、ロケーションごとに数えてロケーションごとに突き合わせるのが正解です。倉庫別カウントシートの切り出しから差異の原因切り分け、マスターへの反映までをまとめました。

倉庫が一つなら、棚卸しは「数えて、シートと比べる」でほぼ完結します。けれど倉庫が二つ三つと増えると、話は急に複雑になります。同じ商品が東京倉庫に10個、大阪倉庫に5個あるとき、合計15個だけを見て突き合わせても意味がありません。東京で3個足りないのに大阪で3個多ければ、合計は合ってしまい、本当の問題が隠れてしまうからです。

Shopifyの在庫は、もともとロケーション(場所)単位で管理されています。だから棚卸しも、ロケーション単位で数え、ロケーション単位で突き合わせるのが筋です。今回は、倉庫ごとの実地棚卸しをシートのロケーション列に正しく突き合わせ、差異を整える流れを追っていきます。

ロケーション別に棚卸しする理由

Shopifyでは、在庫はロケーションごとに「在庫がある数」「確保済みの数」「手持ちの数」といった状態として記録されます。つまり同じSKUでも、倉庫Aの数と倉庫Bの数はまったく別の値です。合計だけを見て棚卸ししてしまうと、この「場所ごとの真実」が見えなくなります。

ロケーション別に数える最大のメリットは、差異を発生源まで追えることです。在庫が合わないとき、それが特定の倉庫で起きているなら、その倉庫の作業手順や入出庫記録に原因が絞り込めます。逆に合計でしか見ていないと、「どこかでズレている」までしか分からず、調査が一気に難しくなります。

倉庫ごとのカウントシートを切り出す

マスターシートに全倉庫の在庫が横並びで入っている場合、そのまま現場に渡すのはおすすめしません。大阪の担当者が東京の列をうっかり書き換えてしまう事故が起きやすいからです。倉庫ごとに、その倉庫の列だけを切り出したカウントシートを用意しましょう。

  1. 01マスターから、SKU・商品名・対象倉庫の理論在庫だけを抜き出す
  2. 02その横に空の「実数」列と「差異」列を足す
  3. 03シート名に倉庫名と日付を入れる(例 : カウント_大阪_2026-05-29)
  4. 04各倉庫の担当者には、自分の倉庫のシートだけを共有する
  5. 05実数列以外は保護をかけ、理論在庫を触れないようにする

差異列は「実数マイナス理論在庫」を計算する式にしておくと、入力したそばから差異が見えて便利です。プラスなら多い、マイナスなら少ない、とひと目で分かります。

カウント中に同期を止めるべきか

ここで悩むのが、カウント中もShopifyへの自動同期を動かしたままでよいか、という点です。基本的には、数えている倉庫については同期を一時停止しておくのが安全です。数えている最中にその倉庫の在庫数が書き換わると、実数と理論在庫のどちらを信じてよいか分からなくなります。

とはいえ、複数倉庫を一度に止める必要はありません。大阪を数えている間も、東京は通常どおり同期を続けてかまわないのです。ロケーション単位で運用を分けられるのは、倉庫別棚卸しの大きな強みです。Sync Masterのようにロケーション単位でオンハンド数量を書き込めるツールなら、こうした倉庫ごとの止め方とも相性が良いはずです。

差異をロケーション単位で突き合わせる

カウントが終わったら、いよいよ突き合わせです。ここでの鉄則は、合計で帳尻を合わせないこと。倉庫ごとのシートで、その倉庫の理論在庫と実数を一行ずつ照らし合わせていきます。差異がゼロの行はそのまま確定、差異が出た行だけを別リストに集めます。

倉庫が複数あると、面白い現象が見えてきます。同じSKUが東京でマイナス2、大阪でプラス2、というケースです。これは多くの場合、倉庫間移動を記録し忘れたサインです。合計で見ていたら絶対に気づけなかった発見が、ロケーション別だからこそ浮かび上がります。

合計が合っているからといって、在庫が正しいとは限りません。場所ごとに合っていて初めて、正しい在庫です。

差異の原因をロケーション別に切り分ける

差異リストができたら、原因をロケーションごとに切り分けます。ある倉庫だけに差異が集中しているなら、その倉庫固有の問題が疑われます。全倉庫に薄く広がっているなら、商品やSKUの管理ルールそのものを見直す合図かもしれません。

  • 特定倉庫に集中 : その倉庫の入出庫記録や作業手順を確認する
  • 倉庫間で打ち消し合う差異 : 移動の記録漏れを疑う
  • 同一SKUが複数倉庫で少ない : 共通の出荷・返品処理の漏れを疑う
  • 高額品だけにズレ : ピッキング手順や保管場所の見直しを検討する

原因が分かったものから順に、対応方針を決めていきます。破損や紛失なら廃棄として減らす、移動漏れなら両倉庫の数字をまとめて直す、といった具合です。原因が分からない差異は、無理に消さず「不明差異」として記録しておくと、次回以降の傾向分析の材料になります。

切り分けのときに意識したいのが、差異を「どの倉庫で・いつ・どのSKUで」起きたかという三点セットで記録しておくことです。倉庫名だけでなく日付とSKUまで残しておけば、次の棚卸しで同じ倉庫の同じ商品にまた差異が出たとき、すぐに過去の記録と照らし合わせられます。特定倉庫だけ毎回ズレるなら、その倉庫のレイアウトや担当者の手順そのものに改善の余地があるサインです。ロケーション別に積み上げた記録は、単発の棚卸しを越えて、倉庫運用全体を少しずつ良くしていく財産になります。

確定値をマスターへ反映する手順

原因の切り分けが終わったら、確定した実数をマスターシートのロケーション列へ戻します。ここでも倉庫を混ぜないことが大切です。大阪の実数は大阪の列へ、東京の実数は東京の列へ、一つずつ正確に流し込みます。

反映前に、ぜひ接続テストで列の対応を確認しておきましょう。Sync Masterには、本番の同期前に列のマッピングが正しいかを検証できる接続テストの機能があります。どのシート列がどのShopifyロケーションに対応するかをここで確かめておけば、大阪の数を東京に書いてしまうような取り違えを防げます。

マスターを更新したら、止めていた倉庫の同期を再開します。スケジュール(自動)同期を使っているなら、確定後に再開する時刻を決めておくと運用がぶれません。倉庫ごとに数え、倉庫ごとに突き合わせ、倉庫ごとに反映する——この一貫した流れを守るだけで、複数倉庫の棚卸しは見違えるほど信頼できるものになります。

倉庫が増えるほど、合計のごまかしは効かなくなります。だからこそ、最初からロケーション単位で向き合う習慣をつけておきましょう。次の棚卸しでは、ぜひ倉庫ごとのカウントシートから始めてみてください。

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