オンラインの倉庫だけでなく、実店舗を構えたり、週末だけのポップアップに出店したり——Shopifyを使っていると、在庫を持つ場所が一気に多様になります。ここで多くの方がつまずくのが、「店舗の在庫も倉庫と同じように扱っていいの?」という疑問です。
結論から言うと、実店舗やポップアップは倉庫とは別の性質を持つロケーションなので、運用の仕方も少し分けて考えるのがおすすめです。今回は、店舗・ポップアップと倉庫をどう切り分け、シート同期やPOSとどう付き合うかを、やさしく整理していきます。
実店舗・ポップアップを別ロケーションにする理由
Shopifyでいうロケーションとは、在庫を保管・販売・出荷する「場所」のことです。倉庫も実店舗もポップアップも、それぞれ独立したロケーションとして登録できます。そして在庫はロケーションごとに記録されるので、同じ商品でも「倉庫に10個、店舗に3個」と別々に持てます。
では、なぜ店舗を倉庫とまとめず、わざわざ別ロケーションにするのでしょうか。理由はシンプルで、在庫が動く理由もスピードも、両者でまったく違うからです。倉庫の在庫は主にオンライン注文の出荷で減ります。一方、実店舗の在庫はお客様が手に取ってレジに持っていった瞬間に減ります。動きの種類が違うものを1つの数字にまとめてしまうと、「どこにいくつあるのか」が一気に見えなくなってしまうのです。
- 倉庫 : オンライン注文の出荷で在庫が減る。比較的まとめて動く
- 実店舗 : 対面販売で1点ずつ在庫が減る。POSがその場で更新する
- ポップアップ : 期間限定で在庫を持ち込み、終われば撤収する
POSでの在庫変動とシート同期の関係
実店舗で気をつけたいのが、Shopify POS(レジアプリ)の存在です。店頭で1点売れると、POSはその店舗ロケーションの在庫を自動でマイナス1します。これはとても便利な反面、シートを在庫の正本(マスター)にして同期している場合に、少し注意が必要になります。
もしシート側に「店舗の在庫は5個」と書いて、それをそのまま店舗ロケーションへ上書き同期してしまうと、POSがリアルタイムで積み上げた販売実績を消してしまう恐れがあります。シートは1日数回しか更新しないのに、POSは秒単位で動く——この更新スピードの差が、店舗在庫をシートで管理するときの一番のポイントです。
店舗在庫はシート管理すべきか除外すべきか
ここで多くの方が悩むのが、「店舗の在庫もシートで管理すべきか、それとも同期対象から外すべきか」という選択です。考え方の目安はこうです。
- 01店頭でPOS販売が頻繁にある店舗は、シート同期の対象から外し、POSに任せるのが安全です
- 02逆に、ほとんどPOSで動かさない店舗(展示用や補充の中継地点など)は、シートで数を管理してもズレにくいです
- 03迷ったら、まずは倉庫ロケーションだけをシート同期の対象にし、店舗は手動かPOS任せから始めると安心です
つまり「リアルタイムで人の手が動かす場所」はそのシステム(POS)に任せ、「あなたが数字を決める場所」だけをシートで握る、と切り分けると衝突が起きにくくなります。私たちのアプリ Sync Master は複数ロケーション(マルチ倉庫)に対応していて、どのロケーションへ書き込むかを選べます。倉庫だけを同期対象に絞り、店舗を外すといった設計がしやすくなっています。
期間限定ポップアップの一時ロケーション設計
週末のマルシェやイベント出店など、期間限定のポップアップでは「一時ロケーション」という考え方が役立ちます。専用のロケーションを1つ作り、そこに持ち込む分だけ在庫を移しておくのです。こうしておけば、ポップアップで売れた分とオンライン在庫がはっきり分かれ、二重売りを防げます。
ポップアップが終わったら、売れ残りを倉庫ロケーションへ戻し、その一時ロケーションは無効化(ディアクティベート)しておきます。ロケーションを削除せず無効化にとどめておくと、過去の在庫履歴が残り、次回また同じ場所に出店するときに再利用しやすくなります。シートで管理しているなら、ポップアップ用の列を一時的に足し、終了後に外すといった運用も手軽です。
オンライン公開ロケーションから店舗を外す
もう1つ大事なのが、「そのロケーションの在庫をオンライン販売の対象にするかどうか」です。実店舗やポップアップの在庫を、うっかりオンラインストアの販売可能数に含めてしまうと、店頭にしかない商品がネットで売れてしまい、出荷できないトラブルになりかねません。
これを防ぐには、オンラインストアの販売チャネルが在庫を引き当てるロケーションから、店舗・ポップアップを外しておきます。Shopifyでは販売チャネルごとにどのロケーションの在庫を見せるかを管理できるので、「店頭分はネットには出さない」という設定が可能です。倉庫だけをオンライン公開ロケーションにしておけば、店舗の3個がネット注文で取られてしまう事故を防げます。
店舗・倉庫混在時の棚卸し分担
最後は棚卸しです。倉庫と店舗が混在していると、数え方も担当も変わってきます。倉庫はまとめて数えやすい一方、店舗は営業時間中に少しずつ動くため、閉店後など販売が止まったタイミングで数えるのがコツです。
おすすめは、ロケーションごとに棚卸し担当を分け、それぞれが自分のロケーションの実数だけに責任を持つ形です。倉庫担当はシートの倉庫列を、店舗スタッフは閉店後にPOSの店舗在庫を整える、というように役割をはっきりさせます。こうすれば、誰がどの数字を直すのかで迷わず、ズレも早く見つかります。混在環境ほど、「このロケーションはこの仕組みで管理する」というルールを最初に決めておくことが、長く運用するうえでの近道になります。
実店舗やポップアップは、倉庫とは動き方の違うロケーションです。POSに任せる場所とシートで握る場所を分け、オンライン公開の範囲と棚卸しの担当をはっきりさせる——この切り分けさえできれば、店舗と倉庫が増えても在庫はずっと見通しよく保てます。